気管支鏡検査一覧
症例430
【症例430動画】 アズキちゃん。ポメラニアン 5歳齢 メス 体重2.0kg。田口動物病院(埼玉県)より診療依頼を受けました。症状:9月10日よりペットホテルより帰宅後、興奮後ストライダーが止まらない。咳もある。最終診断は喉頭蓋の後傾(Epiglottic retroversion)。その他の臨床所見:問診にて幼少時より興奮しやすい性格であったとのことであった。白血球数増加(20500/mm3)、CRP0.0mg/dl、透視検査にてストライダーの喘鳴音に同期して喉頭蓋が後方に倒れ喉頭を閉塞し、そのとき動的頸部気管虚脱が生じていた。安静呼吸時の頭部Xpにて喉頭の降下および舌根の口咽頭への後退が認められ構造的咽頭気道閉塞が認められた。 気管支鏡検査所見:喉頭麻痺や喉頭虚脱やポリープ状病変などの閉塞性喉頭疾患なし。頸部気管虚脱なし。軽度の左主気管支狭窄あり。その他異常なし。 最終診断:喉頭蓋の後傾(Epiglottic retroversion)。 治療:喉頭蓋を舌根に外科的に固定。一時的気管切開実施。 転帰:術後ただちにストライダーは消失。固定した喉頭蓋が舌根に固着安定するまで入院にて完全安静管理とした。しかし術後5日目に固定糸が断裂し再発した。その3日後に新術式の喉頭蓋部分切除術を試行した。術後15時間でペースト状フード摂食と飲水で誤嚥なく、ストライダーもみられなかった。再手術後2日目、やはり誤嚥なく、元気に走り回ってもストライダーは生じなかった。その後入院にて症状観察を継続したが日を追う毎に活動的になり、俊敏に動き、よく吠えるようになってきたので、再手術の13日後に完治と判断し退院した。