気管支鏡検査一覧

症例481

#481−イトウユメ150724喉頭 BS-喉頭

【症例481動画】 ユメちゃん。ラブラドールレトリーバー 12歳 オス、体重24.6kg。 来院経緯と主訴:昭島動物病院(東京都昭島市)より診療依頼を受けました。4ヶ月ほど前から吐出や、飲水摂食後に咳があった。2015年6月30日、吐出後に誤嚥性肺炎あり、同年7月9日に頭部レントゲン検査にて喉頭に異常陰影あり。同年7月24日、精査希望のため呼吸器科受診。最終診断は片側喉頭麻痺。主訴は慢性発咳と喉頭部異常陰影。 既往歴:股異形成(1歳未満)、アトピー性皮膚炎(3歳齢時〜)、馬尾症候群(7歳齢時)、肘変形性関節症(7歳齢時)、顎下過誤腫(12歳齢時、切除)。 問診:昨年夏より嗄声が始まったように思うがその後進行なし。散歩時に嗄声様パンティングあり。2015年3月頃より食後5分から3時間経過してから吐出したり嘔吐がみられるようになった。食後直後にはない。鎮静処置後、覚醒遅延があった。同居犬なし、完全室内飼育、定期予防実施。 診察時徴候:嗄声あり。聴診にて咽喉頭に気道狭窄音なし。カフテスト陰性。 臨床検査所見:T:38.2℃、P:100/分、R:panting。血液ガス分析にて問題なし(Paco2 32mmHg, Pao2 93mmHg, AaDo2 19 mmHg)、CBC/血液化学検査にてBUN増加(31.2mg/dl)、CRP正常範囲(0.55mg/dl)、X線および透視検査にて喉頭内腹側に不明瞭な軟部組織陰影あり、喉頭の前後運動ないが披裂軟骨の外転運動は認められず、胸部に異常なし。 喉頭および気管気管支鏡検査所見:肉眼所見にて喉頭に結節病変なし。外側喉頭室内部が浮腫状を呈していたのでこれが喉頭腹側の軟部組織陰影増加に寄与したと思われた。披裂軟骨小角結節から楔状結節部にかけ発赤浮腫あり。左側披裂軟骨外転なし、右側は外転あり。可視範囲の気管気管支樹内に肉眼的異常なし。 確定診断:片側喉頭麻痺。 最終治療:喉頭外科手術非適応のため対症療法。テーブルフィーディングや喉頭炎に対するネブライザー療法。 転帰:検査当日退院可能。現在経過観察中。