気管支鏡検査一覧

症例439

フジオカトコ141205BS-気管分岐部呼気症例439動画】 トコちゃん。トイプードル 14歳齢 メス 体重3.54kg。赤坂動物病院(東京都)より診療依頼を受けました。症状:慢性発咳。3年前から次第に咳が増加。朝寝起きと睡眠時に痰産生咳が多い。最終診断は、気管気管支軟化症を伴った慢性気管支炎。その他の臨床所見:安静呼吸時に努力性呼吸あり。カフテスト陰性。胸部タッピングにて咳誘発あり。聴診にて両側肺野にfine cracklesあり。診察時に痰産生性咳あり。CRP0.10mg/dl。重度な高炭酸ガス血症(Paco2 47 mmHg)および低酸素血症(Paco2 62 mmHg)、AaDo2 31 mmHg。X線および透視検査で、頭部にて構造的咽頭閉塞なく、胸部にて後肺野に間質陰影増加し、透視にて気管支軟化を伴った気管支拡張あり。 気管支鏡所見:胸腔内気道は広範に著しい呼気時虚脱が認められた。虚脱は伸長した膜性壁が気道内に陥入して生じる「三日月型」タイプであった。RB4内に粘稠喀痰が付着し気管支ブラッシングを行った。気管支肺胞洗浄液解析(RB2, 10mlX2, 回収率40%)を行った。回収液に白色粘液小塊が多数認められた。総細胞数は増加(832/mm3, 正常82-286/mm3)、細胞診にて細胞分画ではマクロファージ78.9%, リンパ球1.3%, 好中球 17.9%, 好酸球 1.8%, 好塩基球 0.0%であり、泡沫状マクロファージ主体の慢性活動性炎症パターンを示した。腫瘍細胞は認められなかった。ブラッシング、BALFとも細菌は陰性であった。  最終診断:気管気管支軟化症を伴った慢性気管支炎。 治療:1)在宅ネブライザー療法(生理食塩液+メプチン吸入液+ビソルボン吸入液+ボスミン外用液)、2)気管支拡張薬(ベラチン0.05mg/kg po q12h)、3)粘液溶解剤(ビソルボン錠4mg  1日2回1錠ずつ)。 転帰:検査翌日元気に退院。経過観察中。