気管支鏡検査一覧

症例431

VB431−タナカラブ141108BS症例431動画】 ラブちゃん。Mダックスフンド 9歳 メス 5.34kg。モリヤ動物病院(町田市)より診療依頼を受けました。 症状:8ヶ月続く難治性慢性鼻汁/くしゃみ。数日に1回、粘稠な鼻汁が出る。4ヶ月前から単発性咳も続いている。1ヶ月前に乳腺癌の摘出(片側全摘出術)を受け、その後の胸部X線検査にて左後肺野腹側に直径7mmの境界明瞭な結節影を指摘された。最終診断は慢性特発性鼻炎。その他の臨床所見:胸部X線写真にてびまん性間質陰影、Pao2 77 mmHg、CRP 0.55 mg/dl、後部鼻鏡検査にて右後鼻孔部に灰色粘稠粘液が停滞し、鼻咽頭背壁に高さ約5mmのポリープ状病変が認められたが非腫瘍性と病理組織診断された。前部鼻鏡検査にて左腹鼻甲介の過剰な発達で鼻道狭窄、両側腹鼻甲介表面に粘稠粘液が多量に停滞(微生物検査にて細菌陰性)、腹鼻甲介尾側部粘膜は発赤腫脹し粘膜面凹凸不整あり粘膜生検とブラッシングを行った。細胞診では上皮細胞塊のみでリンパ球など特異的炎症細胞認められなかったが、病理組織検査では局所的に軽度のリンパ球や形質細胞が少量認められた。 気管支鏡検査所見:喉頭痙攣、気管の中等度発赤、気管内粘液停滞あり。結節影に関するLB2V3を介して経気管支肺生検実施したが病理組織検査にて非腫瘍性と診断された。気管支肺胞洗浄液解析(RB2, 10mlX3, 回収率74.3%)の細胞診にて、総細胞数は増加(299/mm3, 正常82-286/mm3)、細胞分画ではマクロファージ66.5%, リンパ球4.0%, 好中球 29.0%, 好酸球 0.0%, 好塩基球 0.5%であり、マクロファージは大きく泡沫状のもので占められ、慢性活動性炎症パターンを示した。腫瘍細胞は認められなかった。微生物検査にて細菌陰性。最終診断:慢性特発性鼻炎。 治療:在宅ネブライザー療法(生理食塩液20ml+ビソルボン吸入液0.5ml+ボスミン外用液0.5mlを1日2回)。 転帰:検査後入院。翌日鼻出血は完全に消失したことを確認し退院。現在、経過観察中。