気管支鏡検査一覧

症例427

症例427動画】 モコちゃん。マルチーズ 11歳齢 メス 体重3.80kg。中田動物病院(横浜市)より診療依頼を受けました。初診は症例376、3ヶ月後は症例389、今回はさらに3ヶ月後の気管支鏡検査。2014.3.23に6ヶ月続く難治性慢性発咳を主訴に来院。初診時に好酸球性気管支肺症+気道細菌感染と診断し、プレドニゾロン0.25-1.0mg/kg PO q24h、感受性あるERFX 5mg/kg PO q24hやDOXY 7mg/kg PO q12h、ルンワン粒1日2回1/2錠ずつ内服を継続していた。症状:咳はかなり緩和したが、消失しきらない。 その他の臨床所見:一般状態良好。胸部X線検査所見にて3ヶ月前より間質影がやや増加し、RB2基部に一致する部位に結節状陰影あり。待合室中で興奮し咳あり、Pao2 72 mmHg、CRP 0.05 mg/dl。 気管支鏡所見:気管分岐部や主気管支粘膜面に粗造感あり、右主気管支とLB1入口部に直径1-3mmのポリープ病変が再び生じていた。LB2とLB1V1内に黄色粘稠分泌物蓄積あり、ブラッシングと吸引を行った。ブラッシング細胞診では好酸球はみられなかった。 RB1, RB2, LB1は管外性圧迫によって閉塞。外径2.5mmの極細気管支鏡にてRB2内を探索したが結節陰影に相当するものはみられず、内部は浮腫著明。ポリープ病変の生検材料は、好酸球、好中球、形質細胞などの炎症細胞浸潤を伴う肉芽組織と病理診断された。微生物検査ではLB1とLB2のブラッシングには細菌は検出されなかった。最後にLB1V1にてBAL施行し、細胞診にて今までと同様に、好中球優勢の慢性活動性炎症パターンが認められた(好中球75.2%, マクロファージ24.2%, 好酸球0.1%)。BALF中にBordetella bronchiseptica+1が検出された。今回検出された細菌は3ヶ月間投与していたDOXYに耐性を示し、ERFXに感受性を示した。 最終診断:慢性好酸球性気管支肺症により気管支炎症は消失しておらず、6ヶ月間経過した現在も気道内にBordetella bronchisepticaが滞留していた。 治療:プレドニゾロン0.25 mg/kg PO q24h、ERFX 5mg/kg PO q12h、ルンワン粒1日2回1/2錠ずつ内服を開始し、1ヶ月ごとに定期検診。 転帰:検査後咳はみられず当日退院可能。経過観察中。