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外来患犬に行われた動脈血血液ガス分析176例

城下幸仁1)、山根義久2)

1)相模が丘動物病院、2)東京農工大学

【目的および方法】小動物臨床において動脈血血液ガス分析はいまだルーチン化されていない。そこで、その臨床応用への有用性を評価するため、過去6年間に外来患犬に行われた全ての動脈血血液ガス分析結果およびその診療記録を調査し、i)正常犬の値、ii)患犬の基礎疾患、iii)各種酸塩基平衡障害の頻度、iv)低酸素血症の頻度、について検討した。動脈血血液ガス分析:大腿動脈を経皮的に穿刺してサンプル採取し、pH、PCO2、PO2、[HCO3-]、およびBase Excessについて、37℃で測定した。血液ガス分析装置にはOPTI 1(AVL)を用いた。

【結果】 総計176例が得られた(体重1.3-29.2kg、年齢0.3-16歳、雄74:雌102、疾患あり150/臨床的に正常26、無麻酔room air下164/酸素吸入下12)。i)無麻酔room air下の正常犬20例の平均値±2SDは、pH 7.406±0.057、PCO2 34.7±7.2 mm Hg、PO2 96.3±16.3 mm Hg、[HCO3-] 21.3±3.8 mmol/L、Base Excess -2.5±3.7 mmol/Lだった。ii) 基礎疾患で多かったのは呼吸器系(40例)、心血管系(25例)、泌尿器系(14例)だった。 iii)疾患犬150例中66例[44.0%]から何らかの酸塩基平衡障害を検出でき、順に、呼吸性アシドーシス26例[17.3%]、代謝性アルカローシス 20例[13.3%]、代謝性アシドーシス13例[8.7%]、呼吸性アルカローシス7例[4.7%]であった。iv) 疾患犬で無麻酔room air下140例中42例[30.1%]から低酸素血症を発見でき、順に、重度(PO2<40)4例[2.9%]、中等度(40-49.9)4例[2.9%] 、軽度(50-59.9)6例[4.3%] 、ごく軽度(60-79.8)28例[20.0%]であった。

【総括】動脈血血液ガス分析は、日常診療でルーチン化すれば種々の疾患犬の酸塩基平衡障害および低酸素血症を的確に診断でき、臨床的に有用である。


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