呼吸器 10-b 膿性鼻汁と重度の肺機能低下をともなう下気道感染症を起こした若齢のコッカースパニエルの1例

コッカースパニエル、メス、2ヶ月。体重2.22kg。「かごに入れられ捨てられている?ところを家の前で保護した。鼻をぐずぐずして呼吸も苦しそうなので診てほしい」とのことで来院。
初診時。膿性鼻汁と湿咳あり。重度の肺機能低下 胸部レントゲン。左右の肺野後部に淡い浸潤影。 気管支鏡所見。左後葉気管支内に粘稠分泌物 治療開始2ヶ月後。肺機能は正常化し元気になった。
経過:受診時、膿性鼻汁と湿咳ありやや呼吸困難を示した。血液検査ではリンパ球増加ありジステンパーを肯定できなかった。胸部レントゲンでは左右の肺野後部に淡い浸潤影がみられた。動脈血酸素分圧は著しく低下し(PaO2 58.2 mm Hg)、重度の肺機能低下を示した。肺感染症が疑われその病原体診断のため気管支鏡検査を行った。気道粘膜全体にわたり浮腫著明であった。LB2,LB2D1,LB2V1,LB2V2, LB2D2入口部より粘稠分泌物が湧き出てきた。BAL(LB2V1)の回収率は9%ときわめて低かったが、総細胞数が4405 /μLと著しく増加しその91.5%は好中球であった。典型的な急性好中球性炎症パターンであった。また回収液からBordetella bronchiseptica が1.0×10CFU/ml検出され、ABPC, AMPC, CFPM, GM, AMK, MINO, OFLX, ENXに感受性、CEZ, CEX, CLDMに耐性を示した。下気道感染症(LRTI)と診断した。抗生剤と去痰剤投与を開始した。2ヶ月後には鼻汁と咳が完全に消失しPaO2 96.6 mm Hgと肺機能も正常化した。
コメント:ひどい肺炎でこの子は助からないとでも思って捨てたのでしょうか? 心優しい方に保護されて本当によかったです。肺機能は低下しておりましたが、そんな背景もあってか「きちっと」診断治療を進めてあげたいと思いました。この症例の詳細はこちらへ
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