呼吸器 6-b 咳症状および胸部レントゲンにて肺炎が疑われたが、気管支鏡検査では無菌が証明された猫の1例

雑種猫、オス、6歳。体重7.40kg。「3日前より突然咳、呼吸困難、口が半開きになっている」とのことで来院。
初診時レントゲン。肺野全体に広がるまだらな肺胞浸潤影。 気管支鏡検査より3日後。浸潤影はほぼ消失している。 1年2ヶ月後。この間投薬は一切なかった。肺野は正常。
経過:元気なく軽度の発熱(39.6℃)あり。5日前より突然喘息様症状あり呼吸困難もあるとのことだった。胸部レントゲンでは肺野全体に広がるまだらな肺胞浸潤影がみられた。動脈血酸素分圧は79.2mm Hgとやや低下し軽度の肺機能低下がみられた。感染による肺炎が疑われたが、腫瘍や猫喘息との鑑別の必要もあり気管支鏡検査を行った。粘膜は全体的に浮腫状を呈していた。気管支肺胞洗浄液(RB3, 回収率76.7%)中に細菌・真菌は検出されなかったが好中球の増加(60.25%)がみられた。腫瘍細胞はみられず、喘息を示唆する好酸球もみられなかった。無菌性の気管支肺炎であった。入院にて酸素、気管支拡張剤、去痰剤を投与し、治療初期にのみ抗生剤を投与した。検査より3日後には肺野の浸潤影はほぼ消失し元気食欲がでできた。10日後退院。それから1年2ヶ月後、腫瘍摘出の件で入院した際の胸部レントゲンでは肺野は正常化していた。この間投薬は一切なかった。
コメント:「まだら状」もしくは「雲状」の肺胞浸潤影は猫に特有の胸部レントゲン所見です。これだけでは診断できませんが、気管支肺炎が起きていることが多いようです。喘息様の症状を示しますが、重度の細菌性気管支肺炎や心原性肺水腫の場合もあり適切な診断と治療が必要です。
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