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Q1:本症例は熱中症ではなかったか?
A1:熱中症であれば血液ガス分析で炭酸ガス分圧が著明に低下し呼吸性アルカローシスになると思います。一方でそもそも肺機能が正常であれば過換気により高酸素血症になります。この症例ではその逆に炭酸ガス分圧が著しく上昇し、重度な低酸素血症が生じていたので熱中症ではないと考えられます。長時間車中にいたが家族とともにいたし、高速道路の走行であったので、窓を閉めて冷房を効かせていたであろうし、公園ではじめは普通に歩いていたのが急に喘鳴症状がおきたとのとから、状況を考慮すると熱中症を疑うような状況ではないと考えられました。

Q2:体温を冷却する処置はどれくらいの程度行ったのか?
A2:保冷剤を軽く体に当てた程度です。

Q3:熱中症でないのにどうしてこれだけ高体温であったのか?
A3:呼吸促迫ではよくみられる症状ですし、この症例ではさらに気道閉塞によって体熱放散ができなかったことにもよると思います。そのことは、気管支拡張療法のみで呼吸数の減少と体温の減少がみられたことで説明されると思います。

Q4:ネブライザーにステロイドを用いているが、抗生剤を併用しなかったのは何故か? ステロイド吸入は肺真菌感染を起こしやすいといわれている。
A4:急性期の短期治療であったからです。

Q5:喘息であれば末梢気道疾患であるから肺の末梢域に異常陰影がみられると思うが、みられなかったのが何故か?
A5:病態は、甚急性の末梢気道の収縮です。かならずしも末梢部位に異常影が生じるような状態ではありませんし、異常影が生じる間もない位の急性変化が起きていたと考えています。

Q6:中枢気道周囲に肺胞浸潤影が生じていたのはなぜか?
A6:推測される要因として、この急性喘息発作が中枢気道の反応が優位の発作であったと考えられます。ヒトの気管支喘息では、中枢気道の閉塞の場合、炎症反応に加え自律神経障害の影響を強く受けて起こるとされています。証明はできませんが、自律神経障害が主因の気道閉塞であったと考えています。


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