呼吸器 8-e 失神転倒症状を伴う気管虚脱のヨーキーに軟口蓋切除術が有効であった1例

ヨーキー、オス、6歳6ヶ月。体重6.25kg。3年前より興奮時喘鳴あり。いびきあり。数ヶ月前より散歩時に失神転倒あり。
初診時。猪首としっかりとした筋骨格。 軟口蓋切除術直前のビデオ透視検査。吸気時咽頭狭窄および気管虚脱。 気管支鏡検査。頚部気管虚脱GradeII。予想より軽度であった。 術後1ヶ月。ビデオ透視検査。咽頭開存し、気管虚脱が目立たなくなった。
経過:初診時、身体検査にて猪首(短くて筋肉質で太い首)としっかりした筋骨格体型を示し、慢性上気道閉塞を有していることが予想された。ビデオ透視検査にて舌骨装置内の軟部組織過剰による咽頭狭窄および頚部気管上部で動的虚脱がみられた。透視下では胸郭前口部でほとんど気管は扁平化していた。運動制限、気温管理、減量を指示した。しかし、体重は効率よく減らなかった。気管支鏡検査にて気管虚脱を評価したが、予想より軽度であった。検査中、ラリンゲルマスクにて上気道確保していたので、気管虚脱と失神などの呼吸器症状は、上気道閉塞によるものと考えられた。そこで上気道を広げるため軟口蓋切除術を実施した。術後経過良好であり、いびきや失神は消失した。術後1ヶ月、ビデオ透視検査にて咽頭開存と動的な気管虚脱の消失を確認した。
コメント:「いびき」と「猪首」がみられたときは要注意です。頚部の筋は上気道閉塞のため発達した上気道拡張筋群をしめすもの考えられます。ヨーキーは気管虚脱好発犬種であり、気管軟化素因があります。上気道閉塞と重なると、本症例くらいの若い年齢から気管虚脱が起こり出すようです。
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