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胸部X線像にてdiffuse patchy alveolar infiltratesを示した猫4例

城下 幸仁1、松田 岳人2、柳田 洋介2、佐藤 陽子21相模が丘動物病院・呼吸器科、同・一般診療科)

【背景Diffuse patchy alveolar infiltrates(DPAI)は猫特有の胸部異常陰影と認識だがその意義に一定の見解がない。【目的】DPAIを示した猫の診断と結果、および臨床所見を記述する。【対象と方法】2002年11月から2007年1月まで胸部X線像にてDPAIを示し気管支鏡検査で確定診断された猫の診療記録を後ろ向きに調べた。【結果】対象は猫4例(3.1-10.5歳; F2/M2; アメリカンショートヘアー2/雑種2)。診断は下気道感染症2例;無菌性急性肺炎1例;特発性間質性肺炎1例であった。結果は完治1例;部分治癒1例;診断後2日以内に死亡2例であった。死亡例は下気道感染症の2例で気道内吸引後が誘因となった。症状は呼吸困難4例;浅速呼吸3例;発熱3例; 吸気努力1例;急性発咳1例;慢性発咳1例;流涎 1例、随伴疾患は肥満3例;削痩1例;唾液腺炎1例、血液検査は白血球数増加3例;高血糖1例、動脈血ガス分析では低酸素血症4例;高炭酸ガス血症1例;過換気1例、他のX線像は気管内に扁平塊病変1例;心陰影拡大1例、気管支鏡検査の肉眼所見は中枢気道内に粘稠分泌物2例;異常なし2例、気管支肺胞洗浄液(BALF)解析は好中球数増加4例(60-98%);総細胞数増加3例(>5000, 5040および413/ mm3);培養陽性2例(それぞれPasteurella multocida>1.0×105およびPasteurella spp. 1.0〜9.0×102 CFU/ml )であった。初期に全例で酸素室が利用され状態改善1例;やや改善2例;状態維持1例であった。診断後の治療は気道内吸引2例;吸入療法1例;内科療法2例であった。治癒例では診断後6または3日目に浸潤影が消失した。【考察】DPAIに対し下気道感染症は予後注意の鑑別診断である。全例で呼吸困難症状、低酸素血症、BALFに好中球増加を認めた。


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