相模が丘動物病院のホームページ|メール


犬の鼻腔内異物3例-会場での討論

Q1:症例2について。内視鏡下にて摘出困難であったとあるが、外鼻孔からフィラリア鉗子などで咽頭鼻部に押し戻し、バスケット鉗子で回収することはできなかったか?
A1:症例2で内視鏡下摘出困難であった第一の理由は、出血によって内視鏡下での視野が保てなかったことによります。本症例では、外科摘出した訳ですが、尾端の先端部が鼻腔側に深く刺入するような形になっており、前から押し出すのは困難であるように思います。

Q2:症例3の術中心停止の原因はどのように考えているのか?
A2:今のところ、原因を説明する材料がありませんので、分かりません。ただ、推測の範囲で言わせていただくことが許されれば、あまりにも急激な心停止であったので、急性心筋梗塞の可能性はあるとは思います。本症は、その外科操作に出血が危惧されていたので、術前数日から術直前、術中にも止血剤を投与しておりました。ヒトでもごくまれに、止血剤の多用で、術中心筋梗塞や脳梗塞に至る場合があるようです。ただ、あくまで推測です。

Q3:症例3の「骨片」とは、そもそもその部分にあるものであり、異物とは言えないのでは?
A3:厳密にいうとそうかもしれません。ただ、それを除去して鼻道閉塞が解除されたし、内視鏡下にて後鼻孔を塞ぎ、周囲の粘膜と明らかに異なる構造物が観察されていたので、ここでは、「異物」させていただきました。

Q4:症例3での、吐物の鼻道内逆流があったことは確かなのか?鼻腔内腫瘍は鑑別の中になかったのか?
A4:そのような事故があったことは確かです。鼻腔内腫瘍については、一度CTを撮影されており、慢性鼻炎と診断が専門医で下されているので、その時点で除外されていると考えております。

Q5:症例3で、咽頭鼻部を外科露出したときに、鼻汁で充満しているようなことはなかったか?
A5:ありませんでした。内部の粘膜は全てみえるような状態でした。

Q6:鼻腔内腫瘍を内視鏡下生検するときに、シコツ甲介の一部と思われる骨片がいっしょに除去され、そのとき多少の出血をみることがある。本症例で、「骨片」と除去したときに、出血はなかったか?
A6:はまり込んでいるようなものをとったという感じでしたが、出血はありませんでした。(咽頭鼻部は非常にせまくシコツ甲介には鉗子が届かないと思われる)。


相模が丘動物病院のホームページ|メール
Copyright (C) 2011 Sagamigaoka Animal Clinic All Rights Reserved.