相模が丘動物病院のホームページ|メール


猫の急性間質性肺炎の1例-会場での討論

Q1:生前、FIVの検査を行ったか?
A1:残念ながら行っておりません。行うべきであったと思います。

Q2:死後剖検肺を材料に細菌培養を行ったか?
A2:行っておりませんが、すでに生前、気管支肺胞洗浄(BAL)を解析しており、その検体の培養および細胞診により、細菌および真菌は検出されておりません。

Q3:肺組織切片に対し、抗酸菌染色を行ったか?
A3:行っておりません。急性経過をとっており、結核菌感染の可能性は低いと思います。また、肉芽腫形成や類上皮細胞もなく結核菌感染の病理所見はありませんので必要はないと思います。

Q4:胸部レントゲン上、「間質影はあるが浸潤影がない」という表現がよくわからない。この症例では間質性肺水腫があり、肺水腫があるのではないか? それは浸潤とは呼ばないのか? 浸潤影とは、いわゆる実質パターンのことなのか?
A4:そういうことです。気腔内に滲出液がある場合のみ浸潤影(infiltration)と呼び、気腔内に滲出液がなければ間質影ということなります。したがって、間質性肺水腫は、間質影と呼ぶべきであると考えております。
会場よりAdvice:獣医領域では、レントゲンのパターンについての記述が統一されていないように思う。現段階では両者の言うことはともに間違いがないが、ここでいう浸潤影とは「肺胞浸潤影(alveolar infiltration)」とすると誤解がないと思う。

Q5:「原因不明のARDS」とはいうが、実際のところ何が原因と考えられているのか?
A5:私の知識不足で大変申し訳ございませんが、原因はわからないということになっております。これだけの肺傷害を起こすので分からないでは済まされないとは思いますが。答えにならなくて申し訳ございません。

Q6:気管支鏡の肉眼所見で「凹凸不整」とあるが、これは病理組織学的にどのように理解すればよいのか? どのような粘膜の異常なのか?
A6:実は「凹凸不整」所見とは、正常猫でもときどきみられます。猫の気管・気管支内は粘液が多く、このようにみえるのだと思います。今回の症例では、肺の病理組織所見において、気管支領域はほぼ正常に保たれているとの記述があったので、おそらくこの中枢気管支の凹凸不整像は正常範囲の変化、すなわち粘膜上の粘液がこのようにみえたと推測しております。


相模が丘動物病院のホームページ|メール
Copyright (C) 2011 Sagamigaoka Animal Clinic All Rights Reserved.