気管支鏡検査一覧

症例458

Veterinary Bronchoscopy#458, Bronchomalacia, Chronic cough, Chihuahua 13y M, ID6413カノウノーティー

症例458動画】 ノーティーちゃん。チワワ 13歳 オス 2.56kg。来院経緯と主訴:代々木公園動物病院(東京都)より診療依頼を受けました。主訴は、6ヶ月間続く慢性咳漱。2015年4月24日、精査希望のため呼吸器科受診となった。最終診断は気管支軟化症。 既往歴:4年前から僧帽弁閉鎖不全症のためACEIを継続投与していた。 問診:2週間前からは睡眠時以外はほぼ常に咳あり、気管虚脱の疑いがあるとのことだった。抗菌剤(CAM)、鎮咳剤、ネブライザー療法(GM, デキサメサゾン、ビソルボン、メプチン)を行ってきたが咳が改善しなかった。幼少時より大きないびきあり(レベル4/5)。来院の2週間前から強いくしゃみあり。 診察時の徴候:肥満傾向(BCS4/5)。持続性痰産生性の咳が続いていた。 その他の臨床検査所見:CRP0.2mg/dl。軽度低酸素血症(Pao2 68 mmHg)、換気正常(Paco2 33mmHg)、AaDo2の開大(43mmHg)。X線および透視検査で構造的咽頭閉塞、動的頸部気管虚脱、後肺野に間質影増加、呼気時気管支虚脱、心陰影拡大(VHS11.0)あり。鼻腔ブラッシングにてリンパ球など特異的炎症細胞は認められず、起炎菌も分離されなかった。 喉頭鏡および気管気管支鏡所見:喉頭虚脱や喉頭麻痺なし。気管全長にかけ膜性壁伸長と軽度気管虚脱、気管支虚脱が左主気管支/RB3/RB4/LB2に認められたが明瞭な粘液停滞所見はなかった。LB1V1にて気管支ブラッシングを行ったが細胞診で異常なく、起炎菌も分離されず。気管支肺胞洗浄液解析(RB2, 5mlX3, 回収率42.7%)も行った。総細胞数増加なし(90/mm3, 正常82-286/mm3)、細胞診にて細胞分画ではマクロファージ95.0%, リンパ球1.2%, 好中球 3.8%, 好酸球 0.0%, 好塩基球 0.0%であり、泡沫状マクロファージ主体であり、微生物検査にてPseudomonas aeruginosaE.coli を分離し、ともに有意であり、2菌種とも感受性を示したのはCAZ, CFPM, IPM, AMK, FOMであった。CAMおよびGMは十分な抗菌効果がみられなかった。 最終診断:気道感染を伴った気管支軟化症、動的頸部気管虚脱、原発性気管虚脱グレード3。 治療:体重減量(-10%)、長期在宅ネブライザー療法(生食20ml+ホスミシンS耳科用3% 0.5ml+ビソルボン吸入液0.5ml+メプチン吸入液0.5ml、1日2回。ホスミシンは2ヶ月間使用予定)、ホスミシン錠250 1日2回1/4錠ずつ/14日間、胸郭周囲の筋力を増加するため運動促進、循環器治療を継続、鎮咳剤やステロイドを使用せず薬剤で咳を止めず喀痰軟化を図り痰喀出を和らげる。 転帰:検査後回復良好のため当日退院可能。現在経過観察中。