気管支鏡検査一覧

症例502

Veterinary Bronchoscopy#502, Tracheoesophageal fistula, Chihuahua 10Y M, ID6428サイトウダイズ151012【症例502動画】 ダイズちゃん。チワワ オス 10歳、体重1.6kg。飼い主様自身の希望で呼吸器科に受診がありました。2014年7月に気管虚脱と診断され気管外プロテーゼ設置術(PLLP法)を行った。その後からレッチングを繰り返し、飲水後には必ずレッチングを示した。症状は次第に悪化し、2015年4月には咽頭液喀出あり、同年5月中旬には水を飲まなくなり、Wetフードを与えてもレッチングするようになった(症例470)。その後、ネブライザー療法と体重管理を行ったが症状改善しなかった。 最終診断は、気管食道ろう。

 

 

 

経過詳細

症例470(初診日2016年5月31日、気管鏡検査同年6月7日)をその後経過観察しておりました。その後、飼い主様でネブライザー療法と体重管理を指示通り行っていただきましたが、状態は変わらず、むしろ悪化していくようでさえありました。同年10月12日、気管内を再度精査することになりました。気管のほぼ中央部で、気管内に青い縫合糸の結節が数本みとめられ、その付近で二股に分かれていました。気管憩室を疑い内部を探索すると尾側にむかって空虚な管腔構造内にスコープが入り盲管となっておりませんでした。粘膜の所見や位置から食道であることが分りました。気管と食道に交通路が生じ、気管食道ろうと診断できました。ただちに、外科整復術に移行しました。左頚部を上にした横臥位に保定し、気管支鏡で交通部を内部で照らしおおよその部位を把握し、そこを中心として前後方向に皮膚を切開しました。気管と食道間を交通する管状部を同定し、食道側と気管側で結紮し、その間を切断しました。術後、十分な鎮痛剤を投与し、覚醒後問題なく気管チューブを抜管できました。術後24時間まで静かに寝ていましたが、それ以降に喘鳴とチアノーゼが生じるになりました。手術内容を考えると、反回喉頭神経障害のための喉頭麻痺が疑われました。鎮痛剤でまた静かに眠るのそれを繰り返しておりましたが、術後48時間以降ストライダーとチアノーゼが悪化して管理が困難となってきました。陰圧性肺水腫も疑われました。呼吸が速くなり苦しそうな状況となり意識がなくなったので、すぐに緊急に気管内挿管をして100%酸素をチューブを介して吸入させると、すぐに酸素飽和度が100%を示し安定しました。そこで飼い主と相談し、人工呼吸療法を開始しました。3時間継続しましたが、回復には人工呼吸管理にて数日を要しそうでした。その時点ではほとんど意識なく、苦痛はありませせんでしたが、予後は極めて悪く、治癒の見込が低いことから、飼い主様のご希望で安楽死を行いました。151012術中04-気管食道ろう、2本目の結紮、左はターニケット のコピー