気管支鏡検査一覧

症例483

VB#483-ヤマダカボス150731喉頭

【症例483動画】 かぼすちゃん。フレンチブルドッグ 3歳 オス、体重7.60kg。来院経緯と主訴:動物病院川越(埼玉県川越市)より診療依頼を受けました。1年程前から発作性上気道閉塞症状あり。2015年7月30日、精査加療希望のため呼吸器科受診。最終診断は喉頭虚脱ステージ2。既往歴:とくになし。 問診:発作症状は、先ずうめき声をあげて後ずさりし、前肢をのばしてお尻を持ち上げ、「猫の伸び」のようなポーズをとるようになる。いつも左側に頭を少し傾ける。後ろ足にとても力が入っている様子あり。その後、パンティングしながら、落ち着きなく、目は見開き、ふらふらと力なく歩く。発作後は、気管支拡張剤と頸部を保冷剤で冷やして様子をみている。一度、発作が生じると落ち着くまで1時間程度かかる。これまで外鼻孔狭窄整復術1回、軟口蓋切除術2回、を実施したが、2-6ヶ月後に同様症状が再発。1ヶ月前から発作症状が頻発している。睡眠時無呼吸なし。飲水後ムセ、gagging/retchingなし、咳なし。 診察時徴候:BCS3/5、口吻部に膿皮症あり発赤、舌なめずりが多い、診察台上でストライダーなし。 臨床検査所見:血液ガス分析にて過換気(Paco2 26mmHg, Pao2 106mmHg)、CBC/血液化学検査/CRP測定にて異常なし(CRP0.05mg/dl)、X線および透視検査にて頭部にて小下顎症、喉頭降下、顎下軟部組織増加、咽頭背側壁粘膜余剰あり深い吸気時に動的咽頭虚脱あり、鼻咽頭尾側部は不鮮鋭で間隙なし。胸部にて肺野透過性問題なし。前部鼻鏡検査にて右鼻腔発赤あり、ブラッシング細胞診にて特異的炎症細胞なく、起炎菌検出されず。口吻の膿様の落屑よりStaphylococcus intermedius 1+が分離された。 喉頭および気管気管支鏡検査所見:肉眼所見にて咽頭粘膜の余剰ヒダが披裂軟骨背側に触れ喉頭口を部分的に閉塞していた。このヒダ状部は比較的固かった。披裂軟骨小角結節部の一部接着があり、喉頭虚脱ステージ2を確認した。披裂軟骨外転不良。その他の可視範囲の気管気管支樹に肉眼的異常なし。 確定診断:短頭種気道症候群、喉頭虚脱ステージ2、披裂軟骨背側部を部分閉塞する咽頭粘膜余剰ひだあり。 最終治療:一時的気管切開下に軟口蓋を誤嚥しない程度に拡大切除。 転帰:術後3日目に気管切開チューブ抜去。入院期間中、一過性に鼻汁増加ありStaphylococcus intermedius 1+が分離された。術後、発作症状なく、スターターやストライダーはほとんどみられず、経過良好のため5日目に退院。自宅看護には、鼻腔/咽頭/喉頭粘膜の安定化のため在宅ネブライザー療法(FOM、ボスミン、ビソルボン、生食)、分離菌に感受性あるFOMを全身投与。それ以外の治療なし。現在、在宅にて経過観察中。