気管支鏡検査一覧

症例475

VB475-ホシカワパピー150705喉頭 BS【症例475動画】  パピーちゃん。パピヨン 10歳 オス、体重3.86kg。来院経緯と主訴:  東京大学動物医療センター内科系診療科(東京都文京区)より診療依頼がありました。かかりつけ医はくまごろう動物病院(埼玉県上尾市)です。2015年1月に室内で突然ふらつき失神発作あり。その後も摂食時や暑さで息が苦しそうになりチアノーゼになった。東大にてCT検査を含めた上気道精査を行ったが軟口蓋過長ではないと判断され、2015年7月5日、呼吸器科にて精査となった。最終診断は咽頭気道閉塞症候群ステージⅢa+b。主訴は失神転倒歴と摂食時チアノーゼ。 既往歴:頚椎椎間板ヘルニア疑い(2013年、起立不能)、耳血腫(2013年)。 問診:いびき(レベル1/5)、低調スターター、漿液性鼻汁、単発性咳が4-5年前から間欠的にみられるようになり、ジャーキーを食べているときや、仰向けになるとチアノーゼとなり苦しそうになった。3年前に外に散歩中に失神転倒が1度あった。今年の1月、室内でおとなしく寝ていたところ突然起き、上を向きながら口をパクパクしながら歩きだし、突然失神して倒れた。同じ日に3回生じた。その後も食事を飲み込みにくそうにしたり、暑い日に舌色が悪くなることがあった。涼しくするとこのような不安定な呼吸器症状は落ち着いた。そのようなこと以外は全く問題ないようであり、生活支障度はⅠと思う。しかし、暑くなるとⅣになる。睡眠時、よく顔を上げ頸部をのばす仕草をする。同居犬あり、完全室内飼育、定期予防実施。 診察時徴候:BCS4/5、常に舌を出している。持続性開口呼吸。猪首。流涎あり。鳴き声が高調でおかしい。カフテスト陽性。聴診にて、咽喉頭にて最強の呼気時優位の気道閉塞音あり。心雑音なし。温度22℃、酸素濃度25%のICU管理にて睡眠可だが、ときどき顔を上げる。体を起こしているときは、疲労のためか頭を下げてはもとに上げる動作を繰り返していた。 臨床検査所見:T:38.1℃、P:124/分、R:20/分。血液ガス分析にて中程度の低酸素血症、急性呼吸性アシドーシス、換気血流不均等分布あり(pHa 7.35、Paco2 41mmHg, Pao2 64mmHg, [HCO3-]a 22.1mmol/L, BE a -2.9mmol/L, AaDo2 38 mmHg)。CBC/血液化学検査にてALP1785U/L。CRP増加なし(0.05mg/dl)。X線および透視検査にて、頭部に構造的咽頭閉塞(舌根の口咽頭への後退、咽頭周囲軟部組織増加)あり、喉頭陰影増加も認められた。透視で呼気時咽頭閉塞/吸気時咽頭拡張が認められた。胸部に後肺野に間質陰影増加し、心陰影拡大(VHS11.5)が認められた。 確定診断:喉頭虚脱および咽頭虚脱(陰圧性肺水腫あり、咽頭気道閉塞症候群Ⅲa+bと診断され、ただちに永久気管切開術が適応)。  最終治療:永久気管切開術。 転帰:3週間後経過良好のため退院。現在、在宅ネブライザー療法を含めた自宅管理中で経過良好。元気に動き回っている。