気管支鏡検査一覧

症例474

VB#474−タナベダンボ150627BS-喉頭のみ

【症例474動画】 ダンボちゃん。ヨークシャーテリア 8歳 メス、体重4.5kg。来院経緯と主訴:1ヶ月前の夜間執拗なレッチングが突然始まり、その後ストライダーが止まらなくなった。1週間前に動物ERセンター文京(東京都文京区)にて喉頭麻痺と診断され、呼吸器科にて精査加療をすすめられた。かかりつけ医はhanaペットクリニック(東京都文京区)です。2015年6月27日、精査加療希望のため呼吸器科受診。最終診断は急性咽喉頭炎および喉頭麻痺。既往歴:レッグペルテス病(2007.大腿骨頭切除術実施)、尿石症(ストルバイト)、胆石症および腎結石(2015.6.21. ERセンターのCT検査にて発見された)。  問診:若齢時より興奮時ストライダーがあったが気になる程ではなかった。何度か手術を受けたがその度に獣医師から「喉頭が狭い」と指摘されていた。嗄声はなかった。6月1日夜間、急にレッチングと咽頭液喀出が頻回生じ、その後ストライダーが止まらなくなった。発症時のど周囲が腫れていた。ステロイド投与で落ち着いた。発症時から声が出なくなり、嗄声様パンティングすることが多くなった。嗄声様パンティングはステロイド投与で緩和されたが、投与中断で再発した。直前の5月までは全く問題なく、嗄声もレッチングもみられなかった。今回の症状は突然起きたように思う。現在、自宅で異常呼吸音は生じているが走ったり、高いところに飛び上がったりしており、慢性呼吸困難の生活支障度の評価*はレベルⅠと思う。いびきはごく軽度、咳はみられず、ときどき勢いよく水を飲んだときにgagging/retchingが生じることがあった。熱中症なし。右前腕部を舐める癖があり。同居犬あるが(ヨークシャーテリア、8歳)呼吸症状なし、完全室内飼育、定期予防実施。 診察時徴候:BCS4/5、T:38.3℃、P:92/分、R:36/分。嗄声様パンティングが続く。聴診にて咽喉頭にて最強の高調気道狭窄音あり。カフテスト陽性。 臨床検査所見:血液ガス分析にて問題なし(pHa 7.40, Paco2 33mmHg, Pao2 85mmHg, AaDo2 23 mmHg)、CBC/血液化学検査にて異常なし、CRP増加(CRP2.5mg/dl)、X線および透視検査にて頭部にて構造的咽頭閉塞なく、10分間横臥位にて断続的に透視検査を行ったがヒレツ軟骨外転なし、喉頭蓋の後傾もみられなかった。軽度の動的頸部気管虚脱あり。肺野異常影なし。 喉頭および気管気管支鏡検査所見:肉眼所見喉頭は著しく発赤腫脹していた。声門裂内粘膜も浮腫を呈していた。周囲の咽頭も発赤が重度でありラリンゲルマスクの接触刺激に容易に過敏に反応し咽頭および喉頭痙攣が認められた。その際、食道液が逆流し喉頭粘膜を刺激していた。プロポフォール持続点滴にて咽頭粘膜反応を安定化させ、喉頭を再度観察したところ、披裂軟骨の虚脱は認められず、強い自発呼吸があるものの披裂軟骨小角結節の外転なくむしろ内方に引き込まれる奇異運動が認められた。検査中、眼瞼反射を維持し、覚醒直前まで観察を続けたが、披裂軟骨小角結節の外転は確認できなかった。咽頭スワブの微生物検査にて 確定診断:急性咽喉頭炎および喉頭麻痺。 最終治療:ネブライザー療法(生理食塩液20ml+ボスミン外用液0.5ml+ビソルボン吸入液0.5ml+ゲンタマイシン0.5ml/回、1日2回)。急性咽喉頭炎消退後、片側披裂軟骨側方化術実施予定。 転帰:検査後入院管理。周囲気温を25-27℃以下に維持し安静、ネブライザー療法1日2回にて5日目にCRP0.7mg/dlまで減少し退院。その後、在宅にて安静維持およびネブライザー療法を2週間継続後、再診予定となった。