気管支鏡検査一覧

症例465

VB#465, Laryngeal Collapse, ノタキチャチャ150521-BS

【症例465動画】  チャチャちゃん。パグ 6歳齢 メス 体重5.86kg。来院経緯と主訴:はな動物病院(栃木県)より診療依頼を受けました。主訴は、1ヶ月前から呼吸が苦しそうでグーグーいい、何かのどに引っかかったような強い咳を頻繁にする。 2015年5月21日、精査加療希望のため呼吸器科受診となった。最終診断は喉頭虚脱ステージ3。問診:1日中動かず、散歩で歩くとすぐに苦しそうになり立ち止まり帰宅しようとする。 診察時の徴候:来院時、持続性ストライダーと吸気努力あり。ICU内(温度20℃、酸素濃度25%)では静かだが、ICU外に出すとストライダーが始まった。  その他の臨床検査所見:CRP0.0mg/dl。中程度の低酸素血症を伴った急性呼吸性アシドーシスを示し上気道閉塞所見を示したが、AaDo2 <30mmHgであり陰圧性肺水腫は起きていたとしても十分可逆的であり手術適応であった(pH7.29、Pco2 46mmHg, Po2 68mmHg, AaDo2 27mmHg)。頭部透視検査で、頭部にて吸気時喉頭後退、喉頭陰影増加、胸部にて淡いスリガラス状陰影あり。鼻鏡検査にて鼻腔および鼻咽頭に異常なし。  喉頭および気管気管支鏡検査所見:舌根肥大が著明であり、十分に舌を牽引しないと喉頭を観察することができなかった。喉頭全体は著しく浮腫を示し、左右のヒレツ軟骨楔状突起が会合していた。ラリンジアルマスクを進め軽く声門裂を押し進めると喉頭は開き、声門下腔をみることができた。しかし、ラリンジアルマスクを手前にもどすとすぐに喉頭は虚脱し閉塞した。したがって喉頭は軟化し内方に虚脱していた。反転喉頭小嚢、ヒレツ軟骨小角突起の接着、ヒレツ軟骨楔状突起の会合、喉頭浮腫が認められ、重度喉頭虚脱(ステージ3)の構造を示していた。さらに、ラリンジアルマスクを手前に戻すと、咽頭粘膜の余剰部分がヒレツ軟骨小角突起部分を覆っていた。気管から気管分岐部にかけて異常はなかった。  最終診断:喉頭虚脱ステージ3   最終治療:舌根肥大によって生じた喉頭虚脱であり上気道整復術は適応外と判断し、永久気管切開術を行った。   転帰:抜管後問題なく覚醒。術直後から尾を上げながら振ってよく歩いた。動画に術後3日目の様子を示した。院内廊下を何度も走りながら往復するほど活動性が改善した。現在入院にて経過観察中。