気管支鏡検査一覧

症例457

アライラブ150419BS-気管分岐部の粘稠分泌物

症例457動画】 ラブちゃん。ラブラドールレトリーバー 5歳 メス 30.0kg。来院経緯と主訴:越谷動物医療センター(埼玉県越谷市)より診療依頼を受けました。主訴は慢性咳漱と胸部異常影。2015年4月19日、精査希望のため呼吸器科受診となった。確定診断はびまん性気管支拡張症。 既往歴:特になし。 問診:幼齢時より4年間安静時に痰産生咳を毎日4-20回以上続いている。 診察時の徴候:努力性呼吸なし。一般状態は良好。聴診にて呼吸副雑音なし。 その他の臨床検査所見:CRP0.5mg/dl。軽度低酸素血症(Pao2 73 mmHg)、換気正常(Paco2 37mmHg)。X線および透視検査で直径2−8mmの類円形の気管支拡張所見がびまん性にみられた。 喉頭および気管気管支鏡所見:喉頭は発赤し、声門裂に粘膿性粘液が付着していた。気管、左右主気管支さらに葉気管支入口部の所々に褐色粘稠分泌物が付着、貯留していた。気管尾側部から左右主気管支にかけ粘膜は発咳、凹凸不整を示し、右主気管支や葉気管支入口部は拡張していた。左右の後葉(RB4とLB2)以降は、粘膜は平滑化し、可視範囲で著明な気管支拡張は認められなかった。LB2V1に粘液が多かったので気管支ブラッシングを行い、ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌1+が分離され、GMとCPに感受性を示した。気管支肺胞洗浄液解析(RB2, 25mlX2, 回収率30%)も行った。総細胞数は増加(820/mm3, 正常82-286/mm3)、細胞診にて細胞分画ではマクロファージ0.5%, リンパ球0.0%, 好中球 99.4%, 好酸球 0.0%, 好塩基球 0.0%であり、腫瘍細胞は認められなかった。起炎菌は分離されなかった。 最終診断:びまん性気管支拡張症。若齢から発症しており線毛運動不全などの先天性要因が考えられ、二次感染管理を含む長期気道管理が必要。 治療:長期在宅ネブライザー療法(生食20ml+ゲンタマイシン0.5ml+ビソルボン吸入液0.5ml+メプチン0.5ml、1日2回)。排痰促進のため運動奨励。  転帰:翌日退院。経過観察中。2週間後、自宅でネブライザー療法を継続しているがとても協力的で気分がよさそうとのことだった。