気管支鏡検査一覧

症例449

タカハシナナ150301BS 喉頭-著しい喉頭狭窄

症例449動画】 ナナちゃん。雑種猫  14歳齢 オス 体重4.54kg。ぽっとまむ動物病院(埼玉県)より診療依頼を受けました。1ヶ月前から異常呼吸音、1週間前から呼吸困難悪化のため持続性開口呼吸、流涎と口臭、摂食不能、睡眠障害が生じるようになり、体温低下(34℃台)および起立困難になってきた。症状:受診時、持続性開口呼吸と著明な吸気努力にて横臥状態、高調の吸気性異常呼吸音を伴っていた。最終診断は喉頭麻痺。その他の臨床所見:Spo2 73%(room air下)。透視検査にて吸気時咽頭の著しい拡大、胸部X線検査にて肺野にスリガラス状陰影。緊急気管切開に迫られた。喉頭鏡および喉頭気管気管支鏡所見:喉頭気道は固く狭窄し、披裂軟骨の外転もみられなかった。先の細いメッツエンバウム剪刀を用い硬性鏡観察下に強制的に喉頭気道を広げてみた。すると、喉頭気道内にマス病変は全く認められなかった。喉頭内のやや隆起した粘膜の一部を生検したが、正常粘膜と組織診断された。切皮して喉頭周囲を観血的に観察し、喉頭周囲に白色扁平隆起病変が認められた。生検の結果、扁平上皮癌と病理組織された。 暫定診断:喉頭麻痺。喉頭周囲腫瘍により喉頭に分布する神経障害(前後喉頭神経由来神経とも)が生じたと考えられた。治療:検査後、気管切開チューブを留置しICU管理(温度23℃、湿度80%、酸素濃度40%)で経過観察 転帰:術後3日目に呼吸困難は消失し、睡眠するようになり、術後4日目では普通に鳴くようになった。現在入院管理中。