気管支鏡検査一覧

症例445

サカイナツコ150201-BALF上に分離されたろう様油状物1症例445動画】 ナツコちゃん。雑種猫 9歳齢 メス 体重4.42kg。モリヤ動物病院(町田市)より診療依頼を受けました。症状:5ヶ月前に胸部異常影を指摘された。浅速呼吸あり。一般状態は維持しているが、先月さらにその胸部異常影が拡大した。最終診断は外因性脂質性肺炎。その他の臨床所見:8年前に原因不明の腹部鈍傷により急性腹壁ヘルニアあり、2年間で2回外科整復術実施。そのため腹筋の筋力に障害あり慢性便秘症となり、数年間流動パラフィン強制投与にて管理してきた。浅速呼吸あり(100回/分)。Pco2 33mmHg、Pao2 82mmHg。胸部X線検査にて腹側中後肺野に浸潤影を一部伴う強い間質陰影あり(重力依存デンシティ)。気管支鏡所見:気道内は肉眼的にはほぼ異常なし。気管支ブラッシング(LB1V1)および気管支肺胞洗浄液解析(RB3, 10mlX3, 回収率40%)を行った。回収液は直後はうすく白濁していたが、時間が立つにつれ表面のろう様油成分と水に分離した。総細胞数増加(374/mm3, 正常55-105/mm3)、細胞診にて細胞分画ではマクロファージ70.5%, リンパ球0.6%, 好中球 28.7%, 好酸球 0.2%, 好塩基球 0.0%であり、巨大化した泡沫状マクロファージが優勢を占めた。腫瘍細胞は認められなかった。ブラッシング細胞診では上皮細胞のみで特記所見はなかった。ブラッシング、BALFとも微生物検査中。 暫定診断:外因性脂質性肺炎。 治療:流動パラフィン投与中止とステロイドの抗炎症量投与を検討。緩下剤はグリセリンに変更した。 転帰:検査後経過良好のため翌日退院。経過観察中。