気管支鏡検査一覧

症例435

サトウチビ141125BS-LB2D2ブラッシング症例435動画】 チビちゃん。トイプードル 10歳 オス 5.30kg. おざわ動物病院(相模原市)より診療依頼を受けました。 症状:2年ほど前から体重増加とともに痰産生性咳が始まり次第に悪化し、1ヶ月ほど前から毎日朝方寝起きを中心にとても苦しそうな咳が3分位続いている。咳は1日10回位。一連の咳の最後に痰を強く喀出するような仕草で終わる(terminal retch)。幼少時よりいびきあり、1年前から睡眠時に突然開口し呼吸が荒くなったり、睡眠時無呼吸もみることがある。最終診断は、慢性気管支炎および咽頭気道閉塞症候群ステージ2。その他の臨床所見:低調スターターあり。咽喉頭にて強い気道狭窄音、カフテスト陰性だが胸部タッピングにて咳誘発あり。頭部X線写真にて喉頭降下と咽頭周囲軟部組織過剰を示す構造的咽頭閉塞あり。胸部X線写真にて肺野にスリガラス状陰影/肝腫大による胃軸変位/腹腔内容増加により横隔膜前縁が前方に変位あり。Pao2 78 mmHg、CRP 0.35 mg/dl。 気管支鏡検査所見:喉頭虚脱、気道内全体は発赤、気管分岐部以降に気管気管支軟化症所見(80%のcarina collapse)、RB3の完全虚脱、その他左右後葉気管支領域に多発性気管支軟化症あり。気管支肺胞洗浄液解析(RB2, 10mlX3, 回収率43.3%)の細胞診にて、総細胞数は増加(359/mm3, 正常82-286/mm3)、細胞分画ではマクロファージ96.5%, リンパ球0.0%, 好中球 3.5%, 好酸球 0.0%, 好塩基球 0.0%であり、特異的炎症は認められない慢性炎症パターンを示した。背景に細かい線維状物が多く認められた。腫瘍細胞は認められなかった。気管支肺胞洗浄液およびLB2D2内の粘液ブラッシング標本とも微生物検査にてEnterococcus faeciumが1+検出され、FOMに感受性を示した。最終診断:慢性気管支炎および咽頭気道閉塞症候群ステージ2。 治療:減量-20%(5.30→4.24kg)、FOMを2週間投与。 転帰:検査翌日退院。かかりつけ医にて経過観察中。