気管支鏡検査一覧

症例425

症例425動画】 ラウルちゃん。Mダックスフンド 11歳 オス 4.78kg。夕やけの丘動物病院(横浜市)より診療依頼を受けました。症状:慢性発咳および急性肺炎。短く、強い喉頭由来の単発性咳が主体で2年前より増加し、咳が止まりにくくなってきた。急性肺炎は来院10日前に突然、発熱、頻呼吸および元気食欲消失の症状から始まった。最終診断は慢性喉頭炎および気管炎。その他の臨床所見:飼い主は非喫煙者、喉頭由来と思われる異常呼吸音が興奮時にときどきあり、胸部X線写真にて左前肺野に境界不明瞭な浸潤影、Pao2 80 mmHg、CRP 0.95 mg/dl、喉頭鏡検査にて喉頭の発赤腫脹および表在血管の明瞭化。 気管支鏡検査所見:喉頭痙攣、気管のほぼ全長にわたり発赤、気道異物や粘液貯留なし、LB1ブラッシング実施、微生物検査実施中。浸潤影に関連する肺野での気管支肺胞洗浄液解析(LB1V1, 10mlX3, 回収率33.3%)の細胞診にて、総細胞数は増加(488/mm3, 正常82-286/mm3)、細胞分画ではマクロファージ60.2%, リンパ球2.1%, 好中球 37.7%, 好酸球 0.0%, 好塩基球 0.0%であり、マクロファージは大きく泡沫状のもので占められ、慢性活動性炎症パターンを示した。これは誤嚥性肺炎でよくみられるBAL細胞診パターンである。微生物検査中。最終診断:慢性喉頭炎および気管炎。急性肺炎は慢性喉頭炎に関連する不顕性誤嚥によって生じたと考えられた。 治療:自宅での環境要因の再検討し原因と考えられる刺激性吸引物の除去。去痰剤の継続投与。喉頭炎の原因が不明で進行性なら在宅ネブライザー療法を提案。 転帰:経過観察中。