気管支鏡検査一覧

症例418

症例418動画】  ビョウちゃん。雑種猫 11歳 メス。症例401の8週間後。喘鳴と開口呼吸が再発し、埼玉動物医療センター(埼玉県)に緊急入院し、酸素療法にて呼吸安定。4日後、呼吸器科転送。最終診断は悪性気管狭窄。症状:連続性気道狭窄音、努力性呼吸あり。その他の臨床所見:摂食しない、胸部X線検査にて胸郭前口部の気管周囲に直径3cm程度の塊病変が明瞭にみえ、左右肺尖部に浸潤影あり。気管支鏡検査所見:気管ステント内中央部に気道の約95%を閉塞する長さ12mmの白色隆起病変あり。気管壁からステントのメッシュ状の壁を越えて内部に侵入していた。その前後の気管ステント内に問題なし。最終診断:気管ステント内の限局性隆起病変による気管閉塞(病理検査にて炎症性ポリープと診断)。治療:バルーン拡張術、APC、ホットバイオプシー鉗子、サクションカテーテルを組み合わせてステント内隆起病変を切除した。引き続き、気管周囲の塊病変に対しFNA実施(病理検査にて非腫瘍性)。転帰:術直後より著明に喘鳴改善。翌日には食欲旺盛。3日後退院。病理検査にて非腫瘍性、炎症性ポリープと診断され、気管外病変は陳旧性膿瘍であり、気管内部に向け強い浸潤性炎症を伴っていると考えているが、具体的な疾患名診断には至らず、ステロイド抗炎症量および抗生剤投与継続にて様子観察。しかし、3週間後、今回の気管内ポリープ病変の組織標本を他の病理検査機関に再検査を依頼したところ、「リンパ腫」と診断された。臨床経過からリンパ腫の診断が妥当と思われた。現在、埼玉動物医療センター様にて化学療法第4週目にあり、治療開始時よりリンパ腫は60%縮小し、元気、食欲、呼吸状態に問題なく、良好に経過。