気管支鏡検査一覧

症例416

症例416動画】 モアちゃん。雑種犬(ヨーキーXチワワ)9歳齢 メス 5.30kg。小林動物病院(平塚市)より診療依頼を受けました。 症状:急性発咳(10日前より、一度に2分以上続く音量の大きな持続性咳と痰産生咳が1日に20回以上あり、夜間睡眠できない)と元気食欲低下。最終診断は急性気管気管支炎。その他の臨床所見:性格上内服困難、軽度の低酸素血症(Pao2 78mmHg)、CRP 0.55mg/dl、透視にて咳時に気管屈曲あり、頭部X線にて軟口蓋過長と咽頭周囲軟部組織過剰による構造的咽頭閉塞あり。気管支鏡検査所見:肉眼的に喉頭の発赤、気管中央部の発赤と粘膜面の凹凸不整、気管支粘膜全体的に浮腫あり、気道異物なし、気道内分泌物やや増加。気管ブラッシング標本にBordetella brochiseptica +1検出し、ABPC, AMPC, CFPM, OPM, OFLX, ERFX, DOXY, AMK, GM, CPに感受性、CEZ, CEX, FOMに耐性を示した。気管支肺胞洗浄液解析(RB2, 10mlX3, 回収率52.7%)の細胞診にて、総細胞数は増加(515/mm3, 正常82-286/mm3)、細胞分画ではマクロファージ38.5%, リンパ球0.2%, 好中球 61.3%, 好酸球 0.0%, 好塩基球 0.0%, 腫瘍細胞みられず、マクロファージはすべて泡沫状であり、慢性活動性炎症パターンを示し、微生物検査では気管ブラッシング標本と同様にBordetella brochiseptica +1検出し、同様の感受性と耐性を示した。最終診断:Bordetella brochiseptica感染による急性気管気管支炎。治療:入院にて酸素療法とネブライザー療法(生食20ml+ゲンタマイシン0.5ml+ビソルボン吸入液0.5ml+ボスミン外用液0.5ml/回 1日2回)を5日間、のち一般室にて同内容ネブライザー療法1日間。退院後、かかりつけ医にてネブライザー療法(同)とバイトリル(ERFX) 5mg/kg  SCを1日1回通院治療にて治療継続。転帰:入院中に食欲元気回復、退院後1週間で咳は夜間のみで次第に減少し順調に回復傾向。