症例検討会/喉頭および気管気管支鏡検査

症状や徴候のグレード評価

症例検討会喉頭および気管気管支鏡検査

いびき

  1. 同じ部屋にいても人の会話の障害にならない
  2. 同じ部屋にいると人の会話の障害になり気になる
  3. 同じ部屋にいるとテレビやラジオの音が聞こえない
  4. 隣の部屋にいてもうるさい
  5. 床を介して(例えば1階⇄2階)いびきが聞こえる

運動不耐性の評価(飼い主の主観評価)

  1. 同年齢の動物と同様に活動でき、歩行、小走り、階段昇降、高所移動も健常動物並にできる
  2. 同年齢の健常動物と同様に歩行できるが、走らない。小走りですぐに息切れする。または階段や高所を健常動物並に上下できない。
  3. 健常動物並に活動できず、自分のペースなら20分以上歩いたり、10分以上遊び続けることができる
  4. 10分以上歩き続けられない。または5分以上遊べない
  5. 動くたびに息が荒くなる。1日中ほとんど動かない。排泄や食事の際にも呼吸が荒くなる

犬の咽頭閉塞の周術期リスク評価

  1. 短頭種、とくにイングリッシュブルドック
  2. 睡眠時無呼吸あり。とくに毎時20回以上無呼吸あり
  3. 幼齢(3週-3ヶ月)または、4歳以上。とくに8歳以上は特にリスク大
  4. 明らかなストライダー。診察台上に載せると確実に認められる
  5. Paco2 40 mm Hg 以上、または Pao2 80 mm Hg未満
  6. 食欲元気なし
  7. 明らかな運動不耐
  8. 心不全・心肥大あり
  9. 胸部X線検査にてびまん性間質陰影あり
  10. 気管虚脱あり
  11. 誤嚥性肺炎の病歴あり

以上3項目以上該当で要注意、4項目以上でリスク大と評価する。

飼い主の初期症状改善度の主観的評価

  1. 完全に改善した(5/5)
  2. ほぼ改善した(4/5)
  3. 少し改善した(3/5)
  4. 変わらない(2/5)
  5. 悪化した(1/5)

咳の程度

飼い主の主観評価でよい。下段は各項目のスコア値。1+2+3の合計値を算出する。

  1. 連日か
連日でない

1点

連日

3点

  1. 咳イベント数/日
0-1

1点

1-3

2点

3-10

3点

10-20

4点

>20

5点

  1. 持続時間/咳イベント
<15秒

1点

15-30秒

2点

30-60秒

3点

1-2分

4点

>2分

5点

終日持続性の咳は3+5+5 +3=16点 とする。

咳の回数での表現の場合、咳1回=2秒と換算してスコア化する。

カフテスト反応性

1から始め、咳が生じたところのレベルを表記

  1. 上部気管部を人指し指1本で横に軽く擦る(5/5)
  2. 同部位から人指し指1本で縦にかるく下向きに擦る(4/5)
  3. 同様に強く下向きに擦る(3/5)
  4. 上部気管部を人差し指と親指で軽くつまみ、腹側方向に擦る(2/5)
  5. 同様に、強く挟み擦る(1/5)

胸部タッピングでの咳誘発

開始後15秒以内で咳が生じる:陽性

15秒以上たっても生じない:陰性

気管内ステント留置後のQOL評価(主観評価)

ストライダー/努力呼吸 処置の必要性
Excellent、極めて良好 なし なし なし
Good、良好 ときどきあり なし 要事のみ
Fair, TypeA、許容可 よくある なし 常時
Fair, TypeB、許容不可 よくある あり 常時
Poor、不良 ステント留置関連死あり

 

-参考文献-

1. Sura PA, Krahwinkel DJ. Self-expanding nitinol stents for the treatment of tracheal collapse in dogs: 12 cases (2001-2004). J Am Vet Med Assoc 2008;232:228-236.

2. Durant AM, Sura P, Rohrbach B, et al. Use of nitinol stents for end-stage tracheal collapse in dogs. Vet Surg : 2012;41:807-817.